東京物語・・・若さ故・・・決意 | 「アンチカリスマ」の徒然なるままに・・・

東京物語・・・若さ故・・・決意

「妊娠してるかもしれない・・・。」その言葉は、自分を狼狽させた。間違いなく、ヤツの子だ・・・。一瞬、ヤツに対してなのか、その子に対してなのか、憎しみの感情が漲る。

しかし、その子には何の罪も無いのだ。そんな理不尽な仕打ちを受けなければならない理由なんて無い。そう思った。

彼女はオレに「命を救ってくれた」と言った。彼女の命を救ったオレが、その子の命を絶つ事がどうして出来よう?

「判った。結婚しよう。子供も生んでいいよ。自分の子として育てるから。」

彼女は泣いた。何度も「ありがとう」と言った。

22~3歳とはいえ、一通り仕事は出来る。それなりの給料を貰える立場にいた事も、自分を後押ししたのだと思う。

しかし、今後の事を考えた時に、押し潰されそうな重圧、不安、いろいろな思いが襲ってくる。それでも男が一度決意した事を曲げる訳にはいかない。まして、彼女はオレよりも大きなショックを受けているはずなのだ。男のオレが弱気な態度を見せる事は許されないのだ。

若いながらも、いや、若さ故の必死の決意だった。